2011年5月3日火曜日

If you could go//Trust me

じいちゃんは「甘白いなぁ・・・」と言いながら買ってきた酒を飲んでいた。
円熟の極みと言える表現だ。
それが僕はMacbook Airが肴と言ってしまう。
だって、Airのミニマリズムと日本酒のきりっとした表情、
そして夏を前にしたこの雰囲気が合うんだもの。

僕が昔住んでいた東京の西部新宿線には沢山の酒屋があった。
学校が終わったあと田無や新井薬師で降りて酒を買いに行く。
ネットではいくらでも手に入るけど、
やっぱりその瞬間に入ったものに、
その時しか味わえない思い出では何にも代え難い。
酒の味も飲み方もわからないから余計にね。

社会人のある日
酒屋を紹介されて初めて自分から日暮里に行った。
夏の夕刻手前
駅を降りて胸がいっぱいになった。
右はビル、左は下町。
夕日が赤く変わる直前。
何もかも僕の生まれる前から知っている風景だった。
わざと迷いながら辿り着いた所で買った酒は
今でもラベルだけ取ってある。

まさか、
またそこに戻ってきて
一生を変える様なカメラを手に入れる事になるなんてね。
酒の味もまた変わる。

今日は合計10本の酒を様々な所で買ってきた。
すべて福島の日本酒である。

そこでしか買えない物がある。
頑固で意地悪な店主とどうにか仲良くなって飲める酒がある。
優しくてなんでも教えてくれる店主と語らう酒がある。
あなたが行く事で、もっと多くの人が味わえる酒がある。
僕ら福島人が消しては絶対に駄目だ。
今日、酒蔵の前で日本全国の車を見た。
もし
彼らが飲めなくなったら、
それは僕らの責任だ。
僕らが飲まないと、行かないと。
酒の味だってね、
見えないし、聞こえないんだよ。
日本酒は、福島の酒は、
水面を歩いて弧を描く様な味がするんだよ。
農家は目に見えては泥臭いかもしれないけれど、
その繊細さの極みが日本酒なんだよ。

ゴールデンウィークが終わっても、
あなたが行く事ができるなら、
きっと福島は大丈夫。
自分自身を見る事が、
何より多くの人を見る事に繋がるから。
漠然とした好きばっかりじゃ駄目だ。
その好きをはっきりさせて。
あなたは福島の何が好きなんだい?
人?
物?
場所?
21世紀だよ。
全部何処にでもあるよ。
今はボタン一つで手に入るよ?
どうする?
だからもっと具体的にさ。
そしたら動かせる様になるからさ。
あなたが舵をとって、
福島をもっと外へ向かって動かせる様になるからさ。
Yeah, you lost it
なくしたもんいつまでも追いかけていても仕方ないだろ。
見えないものにいつまでも怖がってても恥ずかしいだけだろ。
何にもないなら透明だってディランも歌っていたぜ。
転がる石の事はね、
田舎者が一番知っているんだよ。

ま、
Airが酒の肴なんて言うやつに説得力なんてないけどね。
とにかくみなさん。
皆が福島でも日本でも海外でも。
動こう。
うん、こんな事態ね。
犯罪者が殺されて大喜びしている世の中なんてね。
駄目だよ、僕らだけじゃ絶対に駄目なんだ。
そう、
僕らは放射能で溶けて死んじゃうかもしれないから。
ごめんね。冗談。
でもさ、福島には本当に怖がっている人もいるんだよ。
わかってね。
それは偏見とか以前の問題で、ただ怖いんだ。
わかるかい?
ただ怖いんだ。
外にいるあなた達も協力してくれないとさ。

偶然このブログに辿り着いて安心したという人が何人かいる事を今日知った。
ありがとう。
あなたの関心だけで世界は変わる。
遠くで不安なあなたも一緒だ。
だからその関心を一生持ち続けてね。