僕のテリトリーであるこの付近を通ると、
三人のお姉さんが一面の花畑を見ていた。
一人のお姉さんがこの花畑を作っているらしい。
そこでみんなで花をわけあっていたのだ。
とても素晴らしい光景。
均一ではないが、雑多な草花が目を凝らさせる。
何を撮って良いかわからなくなる所程、写り込む物が面白いのだ。
「写真撮ってもいいですか?」
僕は何気なく話しかけ了解をもらうと写真を撮り始めた。
すると・・・。
「こっちから撮るのがいいんだよ」
やっぱりきたか・・・。
僕は素直に移動をしてお姉さんの言う通りにしたが・・・。
「それデジカメだべ?だったら伸ばしてここ(杭)を映さない様にするのがいいんだ」
「はぁ、、、」
それから三人のデジカメ指導が始まった。
この距離がいいとか、花の色の種類と写す範囲を決めてくれたりとか。
「バランスが大事なんだ」
まったくだ。
そして僕は昼も昼だったので帰ろうとすると、
「嫁さんもらった方がいいなぁ。あんた学生さん?恋愛結婚望んでんだべ?」
「はぁ、、、まぁそうですね」
恋愛相談というか、無理くりのアドヴァイスを受けた。
「最初は紫のを脇にズラーっと植えようと思ったんだ。でもやってるうちにわけわかんなくなって。アッハッハッハ」。
「さよならぁ・・・」。
綺麗に手入れをされた所は美しい。
けれどやってるうちにわけがわからなくなる花畑はとても田舎的で僕には現実的だ。
何か田舎の花畑が美しいと手入れを欠かさないと勘違いしている人もいるが、
それはまったくのウソで、じっさいには無規律な並びに、楽天的なやり方と人の面白さが相まってこういった物を生む。
大変かと思うかもしれないが実際には非常に楽しんでやっている。
うちのばあちゃんも庭にたくさんの花を植えている。
最初はプランがあるらしいが、
結果「わけがわからなくなる」というのだ。
ある時は雑草と間違えて抜いてしまったり。
だからしらない間にあんな花やこんな花が咲いたり生えてくるのだ。
しかしそれができるのは何よりも土があるからだ。
土があれば雑草でもなんでも生えてくる。
わざわざ作るのではなく、その雑草や土地に合わせてばあちゃん達の美的感覚が働くのだ。
しかしわけがわからなくなるという。
わけがわからなくなるというより、なんとなく面倒臭いんだと思う。
それが田舎の観光ではない花畑。
土。
それは、あれからかけがえの無い物にも、忌むべきものにもなった。
複雑ではあるが、きれいな花が生えてくる土と素敵な人達は変わっていない。
ここで、僕は果たして「汚染されている」と何かできるだろうか?
いや、僕は写真を撮り、その花を摘むだろう。
何年後、それとも今綺麗な花と今素敵な人達。
僕は後者を選ぶ!
そして第三の道を探す。
忌みを落とすのはやはり自然と心だ。
そういえばここを通って思い出した事がある。
この花畑はその昔沼だった気がする。
そしてそこで小学生の頃事件は起こった。
機会があれば書いてみようかと思う。
写真を撮らせてもらいありがとうございました。
良い嫁さんもらいます。
たぶんまた会うのでその時も相談に乗ってね。