2011年5月31日火曜日

もういいや

夕方からの予定の前にいつものお店によってビートたけし。
そして時間があったから宇田川町で友人と待ち合わせ・・・
のはずが、宇田川町で迷子になってしまった。

宇田川町。
今はレコード屋が少なくなっているはず。
ディスクユニオンのダンスフロアとロックフロアを弟と行ったり来たりしていた頃が懐かしい。その頃は弟は携帯を持っていなかったので、
いちいち行き来しては、あっちより安かったとか、あのジャケットどう思う?なんてやっていた。
先日パパになった最高の友人ともここでよくロックンロールしていた。
一歩となりのクラブで先輩と夜の渋谷の恐怖を味わったのも今となっては素敵な思い出だ。
ディスクユニオンはまだあるはずで、
そこを起点にしようと彷徨い歩くが、
ディスクユニオンすらわからなくなっている。
住んでいないと何かが変わる。
通っているだけでは、牛丼の頼み方すら忘れてしまう。
待ち合わせはスターバックス。
こうなったらスターバックスを持って歩く人を見つけては、
ヘンゼルとグレーテルと行こうかと考えた。
バッカスの神は太陽と月の間にこそ輝く。
しかし歩けば歩くほど目に物が止まりフィルムカメラのストロークが親指を齧る。
見る物全てが写真になる。
こんな幸せ、渦中にいるときはそれが全て。
そのうちに顔見知りの店員と会い、
なんとも恥ずかしい姿を見せてしまった。
というのはその時に使っていたのはソニーのエクスペリア。
さっきまで使っていたライカのM3だったら格好ついたのにと、
何故に携帯カメラだったのか。
「何してるんですか?」
「(フフン)ちょっとね」等と格好がついたはずなのに・・・これだから田舎者なのだ。
小学校の5時のメロディーが流れる。
嗚呼、、、もういいや。

もういいや。

新潟で強い地震があったとき、
僕はここで同じ事を思っていた気がする。
その時僕はレファンという中古レコード屋で、
ビートルズの『ホワイトアルバム』のモノラルレコードを目の前に悩んでいた。
とんでもない金額だった。
「もういいや」
カード片手のサラリーマンに目の前でかっさらわれるそのレコードを見て僕は思った。
店の外へ出て金がある事とロックンロール、というか『ホワイトアルバム』を聴く人間は絶対に同じじゃないと、心の中で思って交番の前に来た。
そんなやつにも警官にもわからないんだと。
ルーフトップライブを止めたのはお前らじゃないかと。
すると地震だった。
誰もが感じるほどだった。
携帯のニュースを見ると、
新潟で震災があったという。
少し怖かった。
しかし数分後、
僕は帰って『ホワイトアルバム』の"Yeah Blues"聴く事を考えていた。
「あんなもんもういいや」と思いながら。