2011年5月25日水曜日

不機嫌なトラック//Country House

先日現場で働くYさんと日本が世界に誇るジャンクフード『ラーメン』を食べに行った。
ところでYさんはアメリカのトラックに乗っていて、
それはそれはパワフルで福島の自然にバッチリなのだが、
どうにも不機嫌なのだ。
基本的に温度差が激しいと機嫌が悪くなるようで、
まるで話しかけるが如く優しく、時に厳しくエンジンをかけないといけないらしい。
らしいというか、僕は待ち合わせの直前にそういった状態になった事がある。
『かかれクソッ!チクショーめ!』という映画の風景を思い浮かべてもらえれば。
BGMはBlurの"Song2"あたりで。
間違ってもAC/DCはいかん。
どちらも大好きなバンドだけどね。

今は行きたい場所へ行くのに気象条件に左右される事は殆どない。
熱くても中に入れば涼しいし、雨が降っても所謂地下道などを通れば濡れずに目的地へ着く。
車は間違いなくエンジンはかかるし、カメラも防水で間違いなく映る。
良く考えれば素晴らしい事だ。
しかし、
何となく、それが虚しいと思う事がある。
何となくコントロールされ、自分で選んでいないと思う時がある。
たまには映らないカメラやエンジンがかからない車。
それがある事で何となく人間らしい気になれたりする。
物心ついた頃からなんでもあった僕らの世代には何故か新しく感じる事もある。
その新しさは井戸水を見つけた時の新しさと似ている。
電気がついた感動や水が出た感動。
その素晴らしさは何度書いても表現しきれない。
わかるかな?
電気がつくんだよ!水がでるんだよ!
凄い事なんだ。
そしてその素晴らしさを伝えあったのはデジタルツール。
両方ある事がどれだけ素晴らしい事か。

Yさんがトラックに乗るのは週に二三回、主に休みの時だという。
それ以外は自転車や通常の日本車だ。
別に古い物だけにこだわっている訳ではない。
在る物があるからこそ、使える物があるという事。
コンビニがあるから時間と戦う激しい仕事にもついていける。
地元の食堂があるからたまの休みに時間を長く使える。

「いつかそのトラックにライカを乗せて原発へ行こう」
そう約束したのはこの人だ。
僕は信じている。
福島県が彼の世界の様にならない事を。
だから僕らは行くのだ。
その時までに大きくて四角いカメラを手にしておかないと。
そう、
Yさんが好きな建築写真家の様に、
僕も永遠に原発を記録しておきたいのだ。
負の遺産としてではなく、その時にある素晴らしい未来の始まりとして。
福島にしかないものがある。
事故の原発と四季折々の自然。
たぶん、僕は行けると思うよ。
何故?って首を傾げる日はそう遠くないと思うよ。
人は自然に助けられるのさ。
お年寄りを大切に。農業を止めちゃ駄目だ。
田舎暮らしを大切に。
その人達が救世主になるはずだ。
きっと世界を変える発見は東北から生まれる。

不機嫌なトラックや不機嫌なカメラや、
不機嫌な地球。
心を通わせ技術を磨き、その性格を愛らしく思うことも大事だ。
ボタン一つでできる事が多いなら、
不機嫌な世界を覗いてみても良いと思うんだ。
そのぐらいの余裕、
今の日本人にもあると思うよ。

やってやろうぜ!
Caught up in the centuries anxiety
今世紀最大の不安にどっぷりつかって
"Country House"