「昔はもっと大変だった」と戦争を体験した人は言う。
ところがうちのじいちゃんは言わない。
じいちゃんは昔の話をするのが大好きだけど、
その全てを面白おかしく楽しい毎日として話してくれる。
○○兵の脱走を手伝ったとか、じいちゃんのじいちゃんの別荘で○○やりながら文学三昧だったとか、その別荘で熊に追いつめられて閃いたとか、お坊さんが柿泥棒するのをみつけて通報したとか。
うちのじいちゃんは言う「大変な時は比べられず、大変な時代があるのはいつだって一緒」。
だから自分も逆転の発想で面白おかしく生活したいなと思う。
今じいちゃんは成瀬巳喜男の『おかあさん』を観ている。
知っている人なら「私のお母さんは・・・」と香川京子の声が聞こえるだろう。
大変な時、皆が皆働いて動いている訳じゃない。
いつの時代にも引きこもりだっている。
反対に常に面白くしてやろうと考えている人も居る。
大変さや恨みだけが残って、それだけを後世に伝えようとしては絶対にいけない。