2011年3月28日月曜日

やっぱり帰る

Kenjiの中の一人の僕は福島と東京を行ったり来たりしている放蕩者です。
ボードレールみたいに食い尽くしてやろうかと画策しています。
そこで福島を「好きか?」と聞かれても上手く答えられない。
理由は「男には好きな場所と帰る場所がある」から
・・・とうちの親父が言っていた。

指定圏外から去る人。
そこを去るのはかまわない。
けれどもう少し土地と言うものを考えた方が良い。
ある囲みで値段が付けられるという意味の土地の話ではない。
土地に人が住まなくなるとどうなるか。
土地は死ぬだろう。
もし、大自然に戻ると思っているなら間違っている。
人間が感動する自然とは一つ残らず人間の手や目が入ったものだから。
それを土地と言う。
人と自然がある事を土地と言う。
そこから人を引いてしまえば。
大自然それは死そのものだ。
そのものは3月11日に体験しただろう。
去るのはかまわないがあなたは土地を殺し死に戻す事になる。

僕の母の友人は、
相馬から二本松の親戚の所へ避難してきた一人だ。
沿岸部の話はここには書けない。
あなたはあなたのとなりに訪ねて、
それがほんのとなりにある事を知るべきだ。
地震から何日経ったろうか。
母の友人は「やっぱり帰る」と戻って行った。
誰も土地を殺す事は許されない。
許されるとしたら、
土地があなたから離れ本物の姿を見せた時だけだ。

あなたが戻ってきた時の為に
僕らはできるだけ笑顔の準備をしておこうと思う。
だけど自然だけはそうは行かないと言う事を覚えておいた方が良い。
そして戻るつもりが無いなら、
その不安だけが目的の偏った知識で去った土地や原発の話をするのはやめろ。
俺の帰る場所まで奪い、俺の帰る場所に居る人達を不安にさせるな。
「やっぱり帰る」
あなたにその覚悟はあるか?