人はいつ死ぬかわからない。
あの日を乗り越えたとしても死は平等にやってくる。
今は平等と言わないととても気持ちが悪いのだ。
親戚が病気で亡くなった。
東京に住む"はなえ"さんという人だ。
子供の頃から知っていて、
田舎に来ると一緒にキノコを取りに行ったりした。
東京でも沢山遊んでもらった。
「はなえさん、はなえさん」と言って色々な所に連れて行ってもらったものだ。
そこで生花を送る事になった。
僕が名前や住所を書いたりする事になったのだが、
"はなえ"という漢字がわからない。
僕としては"花恵"さんかな?と思った。
しかしいい加減に書く訳にも行かないのでばあちゃんに聞いた。
「花に恵みで良いんだよね?」
するとそれで良いという。
「書くよ?」と聞くと「おっけーおっけー、バランス考えて書いてよ」
調子に乗りやがって・・・。
そういう訳で全てが終わり、
テレビを見ているばあちゃんにそれを見せると怒られた。
「あんた漢字も書けないのかい!」
僕は何の事を言われているのかわからなかったから、
聞いてみると"花恵"が間違っていると言う。
散々書いたから最初からやり直しだ。
しかしばあちゃんはハッキリと「花に恵みで良い」と言った。
それを問いつめると全く認めようとしない。
「何が間違ってるの?書いてみてよ!」
ばあちゃんが広告の裏に書いた漢字は
『花井』だった・・・。
まさかと思って聞いてみると
「何言ってんだ!はな"え"さんだ。は・な・"い"さん!」・・・。
"え"なのか"い"なのかどっちだかわからないが
僕はどうやら子供の頃から
ばあちゃんの方言のせいで"はない"さんを"はなえ"さんと間違っていた様だ。
その後何回も名前を呼ばせたがやっぱり"はなえ"さんにしか聞こえない。
家族や離れた従兄弟に聞いてみても"はなえ"さんと言う。
花井さんの家族に電話をかけると「"はない"です」と言っている。
どうなってんだ。
本人はどう思っていたのか・・・今となっては訪ねる事も出来ない。
その後何故「花に恵み」で良いのかとしつこく聞いた。
答えは「何もかも面倒臭くなってた。へっへっへ。」
何もかも面倒臭くなったら仕方ない・・・。