2011年4月21日木曜日

方言の恐怖

人はいつ死ぬかわからない。
あの日を乗り越えたとしても死は平等にやってくる。
今は平等と言わないととても気持ちが悪いのだ。

親戚が病気で亡くなった。
東京に住む"はなえ"さんという人だ。
子供の頃から知っていて、
田舎に来ると一緒にキノコを取りに行ったりした。
東京でも沢山遊んでもらった。
「はなえさん、はなえさん」と言って色々な所に連れて行ってもらったものだ。

そこで生花を送る事になった。
僕が名前や住所を書いたりする事になったのだが、
"はなえ"という漢字がわからない。
僕としては"花恵"さんかな?と思った。
しかしいい加減に書く訳にも行かないのでばあちゃんに聞いた。
「花に恵みで良いんだよね?」
するとそれで良いという。
「書くよ?」と聞くと「おっけーおっけー、バランス考えて書いてよ」
調子に乗りやがって・・・。
そういう訳で全てが終わり、
テレビを見ているばあちゃんにそれを見せると怒られた。
「あんた漢字も書けないのかい!」
僕は何の事を言われているのかわからなかったから、
聞いてみると"花恵"が間違っていると言う。
散々書いたから最初からやり直しだ。
しかしばあちゃんはハッキリと「花に恵みで良い」と言った。
それを問いつめると全く認めようとしない。
「何が間違ってるの?書いてみてよ!」
ばあちゃんが広告の裏に書いた漢字は
『花井』だった・・・。
まさかと思って聞いてみると
「何言ってんだ!はな"え"さんだ。は・な・"い"さん!」・・・。
"え"なのか"い"なのかどっちだかわからないが
僕はどうやら子供の頃から
ばあちゃんの方言のせいで"はない"さんを"はなえ"さんと間違っていた様だ。
その後何回も名前を呼ばせたがやっぱり"はなえ"さんにしか聞こえない。
家族や離れた従兄弟に聞いてみても"はなえ"さんと言う。
花井さんの家族に電話をかけると「"はない"です」と言っている。
どうなってんだ。
本人はどう思っていたのか・・・今となっては訪ねる事も出来ない。

その後何故「花に恵み」で良いのかとしつこく聞いた。
答えは「何もかも面倒臭くなってた。へっへっへ。」
何もかも面倒臭くなったら仕方ない・・・。