2011年7月31日日曜日

2011年7月30日土曜日

2011年7月29日金曜日

「母音・あ」

---ランボー「母音」変奏---

「あ」----母音(だよ)
まずはもちろん
生まれたばかりの赤ん坊の口から出てくる
「お」よりも広く大きく開け放たれた
最初の叫びだ
声の卵だ
あとの四つの母音の仲間を誘い出す湧き水の澄んだ響きだ

「今は昔」の歌垣を訪ねてみても
「あ〜」はよくよく舞っていた
精気に充ちてよく舞っていた
「よくよくめでたく舞うものは  巫女  小樽葉  車の筒とかややちくま 
侏儒舞  手傀儡  花の園には蝶  小鳥」(梁塵秘抄)などなど.....

などなど!

.....これらの声にはよろずのものとの
艶やかな交感のうねりがあった.....
.....都の大路を練り歩き
緑ゆたかの野山や田畑に朗々と響いた声にて
五穀の奥に眠っている日輪の記憶もろとも酒精を起こし

よくよくめでたく舞っていた声.....
よくよくめでたく舞っていた声.....『死者の書』の
ほそい指 丈なす黒髪
白いうなじの南家の郎女・中将姫の
眺めやる夕焼け空の茜色乱れ渦巻く雲間に束の間浮かんだ
墳墓のなかの皇子にまで色香があって.....

(だが.....今の声たち?).....それらは
おそらく
扁桃腺の
バイパス辺りで
涸れかかっている滝
旧約聖書のヤーコブの至福の夢に現れた
天まで届く梯子の傍らで
垂れさがってゆく螺旋階段

声の亡骸
だからと云って
ヨハネの黙示録に描かれた
世界の終わりを告げにくる赤青黒白の
四頭の馬のひずめの音が迫ってくるなか
『荒地』の詩人が思い描いていたように
世界は「ドカンの一発で終わりはしない」し
「すすり泣きの一声」でも終わりはしない

世界はただ一筋の弱々しい失禁で終る

(註)釈迢空著『死者の書』

言葉Y先生、写真K

2011年7月28日木曜日

2011年7月27日水曜日

2011年7月26日火曜日

2011年7月25日月曜日

ゴミ当番の少女

「お母さんが納得するように説明しなさい」
「わたしクラスで出たゴミをまとめて捨てる当番だったの」
「それで?」
「わたしクラブ活動の仕事があって掃除の時間に遅れちゃったの」
「それが理由?」
「ちがうの。わたしは急いでゴミをまとめてゴミ置き場に行ったわ」
「じゃあ、あれは何なの?」
「ちがうの。掃除の時間を過ぎちゃったから
ゴミ置き場の扉に鍵がかかってしまって、
でもその場に置いておくわけにもいかないから
用務員さんに鍵を開けてもらうように言いに行ったらいなくて
授業が始まっちゃうからとりあえずクラスに行ったわ」
「懸命だわね」
「そしたらクラスのみんながゴミを見てわたしに言ったの
〈なんで持って帰ってくんだよ〉って
わたしは扉がしまってたことと
その場に置き去りにしたらそれはそれで問題だってことを
説明したのにみんな納得してくれないの」
「・・・」
「ちゃあーんと、あとで用務員さんにいって
ゴミ置き場の扉を開けてもらって捨てるからって言ったのに
〈ここに置いとくつもりか〉とか〈余所に置いてこい〉とか言うのよ
わたしみんながあんまり言うもんだから悲しくなったし
頭にきたから授業なんて捨ててゴミを持って帰ってきたってわけ」
「それで知らないゴミが家にあるわけね」
「大体みんな無責任なのよ。
自分が出したゴミでもあるのに
それを忘れちゃって
ひとまとめになったからって
まるで預かり知らない汚物のように言って
それまでは一緒の空間にあったのよ。
それはわたしが時間に遅れたのはいけないことだけど」
「だからって持って帰ることないでしょ?」
「わたしはママの子よ。
わたしのゴミと無関係だとは言いきれないわ。
それにああなったらもう誰も耳を貸さないし
こうするのがいちばんいいのよ。」

2011年7月24日日曜日

2011年7月23日土曜日

2011年7月22日金曜日

2011年7月21日木曜日

2011年7月20日水曜日

2011年7月19日火曜日

「あの時」

美しい歯車の時刻であった.....

死人がひとり岬のうえの動かぬ雲に頬杖をつき

黄色い鳥の足をうごかしていた

砕けた鏡の時刻であった.....

月のない夜の伽藍の地下で巨大な氷河のクレヴァスが

深々と口をあけ白い臓器を覗かせていた

幽かな溜め息の時刻であった.....

魚に説教するパドヴァの聖者の青い頭巾が

泡立つ北の海のほうへと微熱を帯びて傾いていた

すべてのものの反転の時刻であった.....

空一面のアルミ・フォイルをクシャクシャに揉んで

数え知れない雷が轟きはじめていた

そしてそれから.....

虚空に浮かんだ

巨大な耳だけの時刻であった

言葉Y先生、写真K

2011年7月18日月曜日

2011年7月17日日曜日

損失

ここは古い建物が多い場所で
久しぶりに訪れましたが
やはり地震の影響が見られ
よく通っていたお店が無くなっていました

投稿Jさん

2011年7月16日土曜日

会津の名物

ここも相当な暑さで2,3分も歩けば汗ダクです
お昼に寄った食堂でソースカツ丼を食べました
会津の名物らしく「ソースカツ丼」という
のぼりを頻繁に見かけました

写真投稿Jさん

2011年7月15日金曜日

2011年7月14日木曜日

泉の雨

2011年7月13日水曜日

2011年7月12日火曜日

避難所の閉鎖時期

石巻では避難所と小中学校の統廃合がすすんでいるようです
仮設住宅の入居もすすんでいるが、
福島と同じように
避難所から抜け出せないひとや「仮設住宅」への入居を
拒むひともなかにはいるようです
福島県では9月をメドに一次避難所や二次避難所を閉鎖し
避難者の仮設住宅や借上げ住宅への入居を円滑に進める為の
新たな工程表を作成する

写真投稿Mさん

2011年7月9日土曜日

2011年7月7日木曜日

Repetition

濡れた顔を拭いた
洗い立てのはずのタオルは生乾きで
鼻のまわりにしばらくツンとする臭いが残った
洗ったはずがまたすぐ汚れた

2011年7月6日水曜日

最近みかけるもの

Gさんからの投稿

2011年7月5日火曜日

2011年7月4日月曜日

2011年7月3日日曜日

ノッホ・ニヒト・ザイン//非同一的なもの

「覚醒をまつ過去のなかの未来」

※今村仁司著
「現代思想の系譜学」

2011年7月2日土曜日

「〈今や此処〉へは.....」

---カフカの非到達の主題によるヴァリエーション---
〈今や此処〉へはなかなかもってたどり着けない

そちらへそちらへ曲がる道に

あちらへあちらへ逸れてゆく日々のハンドル

ひそかに死人を立て直してみる
真夜中の卵のポーズで迂回してみる

すると天から叩きにやってくる
五本か六本の塩辛声の棒
沈みゆく
冬眠の袋のかたち
浮きあがってくる

幼年時代の古井戸の桃色入道雲

〈今や此処〉へはなかなかもってたどり着けない

ものの湾曲の速力に歯形を合わせる
逃げ水に大寺の坊主を投げ込む
日溜まりの猫を三匹
〈今・此処〉の隣接時間や
隣接地域に転写してみる

するときっちり舞い戻ってくる
一匹の霜焼けだらけの虎
今は亡き乾電池とか
壮麗な骨の音楽

〈今や此処〉へはなかなかもってたどり着けない

そちらへそちらへ曲がる道に

あちらへあちらへ逸れてゆく日々のハンドル

言葉Y先生、写真K

2011年7月1日金曜日

笹谷の空


テリー・ギリアムからのメッセージ

映画館で見つけた世界各国の映画監督からの
被災地へのメッセージ
その中に「被災者の顔の中に強さをみた」とあった
確かに強さを感じる人は沢山いた
勇気をもらい不安を拭えた
でもいまはどうだろうか
勇気は餌をぶら下げて強さは弱さを推進している
まるで正義を悪用するかのような出来事もある
詩人ランボーは正義に対して武装した
復興はなにも始まっていない
見たいものはもう見えていて
聞きたいものはもう聞いている
見えないものや聞こえてこない声を探せば
復興もはじまる

Eさんからの投稿