午後4時
旅館に到着
女将さんに案内され二階の部屋へ
部屋から村を見渡す
川内村の夕暮れ
日が落ちるとともにヒグラシの声が近付いて来る
昼の暑さが嘘の様に引いて行き
部屋にとても気持ちのいい風が入って来る
kenjiの声で直ぐに缶ビールを開け
震災後、今までにないほど馬鹿になる
テレビではオリンピックがやっていた
みるみるうちに
僕らの姿勢はだらけていき
知らぬ間に眠りに入る
午後6時30分
目を覚ます
外は薄暗い
夕食の準備で賑わいを感じる
僕らは八時に閉まってしまう村の温泉へ行く為に
予定していた時間よりも夕食を早めてもらうことにした
「大丈夫ですか?」
「あと十分!待ってもらえるかい?」
旅館の旦那さんの明るい声に思わず眠気が飛ぶ
夕食を終え
僕らは徒歩で温泉へ
誰も歩いていない真っ暗闇
時折通る車が399号線いわき方面へ向かうと
向かう車へ安全を祈ってしまう
旅館から20分あまりの散歩にはあまりに暗過ぎる
なんとなく
あの日々の
町の電気が無くなった市内のことを思い出す
温泉へ入り疲れを癒す
午後9時30分
部屋に戻り
また馬鹿な話しをして
kenjiはあり得ない姿で就寝
時計は深夜を回り
外からは雨の音なのか風の音なのか
すとん
ぱらぱら
とんとん
さーさー
と
自然の音が聞こえてくる
何者かと考えているうちに
寝てしまった