二階堂のぬる湯は
まるで神社の中にある温泉に入っている様だった
贅沢にも次々に流れてくる温泉が湯船から溢れ出し
反射した外の景色をゆらゆらと揺らしている
始めは冷たいと感じたぬる湯特有の温度も
じっと浸かっていると身体の温度が湯の温度に合わさり
湯の中にいるというよりは
裸で空気に浮かんでいる様な感覚になった
湧き出してくる湯の波紋が身体を過ぎてく感触は風のようだ
「落ち着く」
自然の湯というのは
人をこれほどまでに神聖な気持ちにさせるのか
沸かし湯の湯船から上半身を出し
あるkenjiと外を見る
秋である
急に栗ごはんが食べたくなった
あるkenjiは目を閉じる
ヒノキの香りが嗅覚を刺激し
静寂の音感が視覚以上のイメージを浮かび上がらせる
崇高な幻想
至福の一時
世の中には沢山の温泉がある
僕らはその内のいくつかしか知らないが
僕は、たぶんあるkenjiも
これが最高だと思う
そんな訳で
思わず"振り回して"撮ってしまった
山と湯の神に失礼な事をしたかもしれない...