あの日々、この自動販売機には殆ど『売り切れ』の表示が出ていた
kenjiと再会以前...一人で近所の様子を探り回っていたあの日
"その様な"今まで見た事の無い光景を
今まで当たり前だった物や風景の前で目にしては
驚きと不安を覚え自分の痕跡を残した
今年は去年の反動なのか沢山の映画を観た
二時間落ち着いて映画を観る事ができるなんてこれは余裕があるとしか思えない
しかしこうした風景の前であの日々の痕跡をみつけると
懐かしさの中から何かがやってきて気をとがめそうになる
何かが「これで良かったのか?」と囁くが
良かったも何もまだまだ答えは出ない
結局、気持ちぎりぎりのところで新たな痕跡を残し
何ごとも無く立ち去るのだ
映画も音楽もなかったあの日々
僕らは
陽が昇れば目を覚まし
暗くなれば寝に入り
その間の食事は最低限に押さえ
"それ"すらも一部になっていたカメラと運動し
("それ"はとても淡々としていて退屈で誰も見なかった)
いつしかあの地震の中にも規則を感じながら
最小限の生活を送る
現代のアウトサイダーだったのかもしれない
僕らを脅かすのは過去の時間と規則くらいのものだった
しかしそれは僕らが野蛮にならずに済んだ理由でもあった
僕らは今もアウトサイダーか
囁く何か
それらが僕ら自身であったことは今も忘れていない
忘れていないからこそ聞こえるのだ
僕らがつけた痕跡は無駄ではなかった
そんな風にこうした風景から思う
まだまだ先は長い
新たな日々へ向け
今は痕跡の前で立ち止まり帰って映画を見るくらいの余裕を大事にしたい