2012年6月15日金曜日

Friend Fukushima the Tower ep2

episode 2
『監視』

「どこにいてもあいつが俺を監視しているんだ...」
今は何処かへ消えてしまった友人Dの最後の言葉を思い出したとき、
Towerは僕を見ていた。
いや、勘違いだ。
Towerはただそこに在るだけ、偶然に目に入っただけ。
しかし今日は何か気になる。
そういえば友人Dは「赤い光」について何度も話しをしていた。
「Towerが赤い光を放つ深夜、キノコの大群が列をなしてTower下部のオフィス入って行く」と...バカじゃないかと思った。
唐突に出てきた"キノコ"のフレーズに腹を抱えて笑ったのを覚えている。
ああ、何だって"キノコ"なんだろうか。
しかしやっぱり今日は何か気になる。
「Towerへはここから歩いて10分くらいか...」
Towerへ近付いてみようと思った。
そう、消えてしまった友人Dの事も気になっていた。
もしかしたらTowerと友人Dの失踪には何か関係があるのかもしれない。
「Dの話しが全て本当だとしたら」
彼の話しをまともに聞いてやれなかったことを今も後悔している。
いつも笑ってばかりでまともに取り合おうとせず、友達は僕だけだったかもしれないのに...そしてDは消えてしまった。
「行こう」
しかし身体は動かなかった。
何か、とても嫌な感じが6月の奇妙な寒さとともに襲ってきた。
そして急に右手のバッグの感触、大変な事を思い出した。
「あぶないところだった...今日は止めておこう」
レンタルDVDの返却期限が迫っていた...あと、15分で閉店...。