2011年7月25日月曜日

ゴミ当番の少女

「お母さんが納得するように説明しなさい」
「わたしクラスで出たゴミをまとめて捨てる当番だったの」
「それで?」
「わたしクラブ活動の仕事があって掃除の時間に遅れちゃったの」
「それが理由?」
「ちがうの。わたしは急いでゴミをまとめてゴミ置き場に行ったわ」
「じゃあ、あれは何なの?」
「ちがうの。掃除の時間を過ぎちゃったから
ゴミ置き場の扉に鍵がかかってしまって、
でもその場に置いておくわけにもいかないから
用務員さんに鍵を開けてもらうように言いに行ったらいなくて
授業が始まっちゃうからとりあえずクラスに行ったわ」
「懸命だわね」
「そしたらクラスのみんながゴミを見てわたしに言ったの
〈なんで持って帰ってくんだよ〉って
わたしは扉がしまってたことと
その場に置き去りにしたらそれはそれで問題だってことを
説明したのにみんな納得してくれないの」
「・・・」
「ちゃあーんと、あとで用務員さんにいって
ゴミ置き場の扉を開けてもらって捨てるからって言ったのに
〈ここに置いとくつもりか〉とか〈余所に置いてこい〉とか言うのよ
わたしみんながあんまり言うもんだから悲しくなったし
頭にきたから授業なんて捨ててゴミを持って帰ってきたってわけ」
「それで知らないゴミが家にあるわけね」
「大体みんな無責任なのよ。
自分が出したゴミでもあるのに
それを忘れちゃって
ひとまとめになったからって
まるで預かり知らない汚物のように言って
それまでは一緒の空間にあったのよ。
それはわたしが時間に遅れたのはいけないことだけど」
「だからって持って帰ることないでしょ?」
「わたしはママの子よ。
わたしのゴミと無関係だとは言いきれないわ。
それにああなったらもう誰も耳を貸さないし
こうするのがいちばんいいのよ。」