「お母さんが納得するように説明しなさい」
「わたしクラスで出たゴミをまとめて捨てる当番だったの」
「それで?」
「わたしクラブ活動の仕事があって掃除の時間に遅れちゃったの」
「それが理由?」
「ちがうの。わたしは急いでゴミをまとめてゴミ置き場に行ったわ」
「じゃあ、あれは何なの?」
「ちがうの。掃除の時間を過ぎちゃったから
ゴミ置き場の扉に鍵がかかってしまって、
でもその場に置いておくわけにもいかないから
用務員さんに鍵を開けてもらうように言いに行ったらいなくて
授業が始まっちゃうからとりあえずクラスに行ったわ」
「懸命だわね」
「そしたらクラスのみんながゴミを見てわたしに言ったの
〈なんで持って帰ってくんだよ〉って
わたしは扉がしまってたことと
その場に置き去りにしたらそれはそれで問題だってことを
説明したのにみんな納得してくれないの」
「・・・」
「ちゃあーんと、あとで用務員さんにいって
ゴミ置き場の扉を開けてもらって捨てるからって言ったのに
〈ここに置いとくつもりか〉とか〈余所に置いてこい〉とか言うのよ
わたしみんながあんまり言うもんだから悲しくなったし
頭にきたから授業なんて捨ててゴミを持って帰ってきたってわけ」
「それで知らないゴミが家にあるわけね」
「大体みんな無責任なのよ。
自分が出したゴミでもあるのに
それを忘れちゃって
ひとまとめになったからって
まるで預かり知らない汚物のように言って
それまでは一緒の空間にあったのよ。
それはわたしが時間に遅れたのはいけないことだけど」
「だからって持って帰ることないでしょ?」
「わたしはママの子よ。
わたしのゴミと無関係だとは言いきれないわ。
それにああなったらもう誰も耳を貸さないし
こうするのがいちばんいいのよ。」