美しい歯車の時刻であった.....
死人がひとり岬のうえの動かぬ雲に頬杖をつき
黄色い鳥の足をうごかしていた
砕けた鏡の時刻であった.....
月のない夜の伽藍の地下で巨大な氷河のクレヴァスが
深々と口をあけ白い臓器を覗かせていた
幽かな溜め息の時刻であった.....
魚に説教するパドヴァの聖者の青い頭巾が
泡立つ北の海のほうへと微熱を帯びて傾いていた
すべてのものの反転の時刻であった.....
空一面のアルミ・フォイルをクシャクシャに揉んで
数え知れない雷が轟きはじめていた
そしてそれから.....
虚空に浮かんだ
巨大な耳だけの時刻であった
言葉Y先生、写真K