2011年10月18日火曜日

「パッシオン?受難?」


「気がかりな夢」から覚めて
またまたべつの
「気がかりな夢」のなかへと滑ったとたんに
〈私(何者?)〉は空っぽの芯を手荒く探られ
わけを訊ねるひまもないまま
ラッキョとともに磔に遭う
・・・・・その間茫々と見えていたのは
誤配ひたすら一本道の〈歴史=物語〉の
巨大な文鎮で打ち砕かれた骸骨の山また山々、
さらには
其処(何処?)は昔は海の底であったから
空一面を覆いつくして
弔旗のように回遊しているアカエイの群れ、
そしてさらなる上のほうには
鴨長明も触れていた
巨大な泡沫(うたかた)の猛り狂う牙

そしてそのあと?・・・・・
・・・・・〈私(何者?)〉は空の急斜面に巣作りをした
高所恐怖症の鳥、
あるいは
赤青緑の曲がりくねった夕焼けの海のほとりで
耳を塞いで叫んでいる
〈ひょうたん男〉
・・・・・だからと云うのか(?)
近い未来に印刷され
誰の目にも触れないままに
荒れ地の風に四散してゆく
〈本の中の本〉のなかでは
この種の実在・非在のことごとくに
「削除」の烙印が既に押されているようなのだ

言葉Y先生
絵 ムンク「叫び」