2011年11月12日土曜日

「メガ・投石・マシーン」

批評家ルイス・マンフォードーーー彼は
規律のとれた大きな人間集団を
「メガ・マシーン」と名付けていたが、
〈私(何者?)〉が燻り出しの穴ぼこからよろけ出た舌で云うなら
『ゴドーを待ちながら』の乞食哲学者ウラジミールが
ボロ靴をやっきになって脱ごうとしていて
それがなかなか脱げないうちに
国家という名の〈メガ・投石・マシーン〉の群が
金盥の底の大きな赤い蟹のように
新たに至るところでガサガサせめぎ合う
ーーーーさらにそれらのマシーン群には
プロセインのきつい頭痛持ちの男によると
「噛みつく癖」もあり
噛むは噛むでも「盗んだ歯」で噛みつくらしい

ところが他方
それらの甲殻類がどでかい石を投げ合っている時代にあっても
安二郎のがっしり構えたカメラの先には
誰に感じ取られることもないままに
兵士の姿が収まるスペースは一切落とされ
そこにはヒーローを必要としない社会が
なんとも静かに灯っていたようだ
ーーーーどんな時でも
一生斯うなって万古疲れるだけだから
ヒーローをやたらに欲しがる社会などまっぴら御免だな

言葉Y先生、写真K